皇極天皇

史上初の女帝として政を仕切った推古天皇の後、舒明天皇が即位。
そして舒明天皇亡き後、皇位継承争いを防ぐために歴史上2人目の女帝となったのが、皇極天皇でした。

第35代 皇極天皇(こうぎょく)

皇極天皇【諡号】 天豊財重日足姫天皇(あめとよたからいかしひたらしひめのすめらみこと)
【諱】 宝女王(たからのひめみこ)
【生没】 594年~661年
【在位】 642年~645年
【父】 茅渟王(ちぬのおおきみ)
【母】 吉備姫王(欽明天皇の孫)
【陵】 越智崗上陵(奈良県高市郡高取町)

舒明天皇が亡くなった後、歴史上2人目の女性天皇として即位したのが、舒明天皇の皇后・宝女王でした。
宝女王が皇極天皇として即位した背景には、皇位継承争いを防ぐためという事情があったとされています。

八佾舞
八佾舞

けれども当時絶大な権力を持っていた蘇我氏は未だ健在で、蘇我蝦夷(そがのえみし)は蘇我家の墓所を葛城にあった高宮にもうけただけでなく、中国大陸で天子だけが許されている「八佾舞」も舞わせるなど、権力のままに振舞っていました。

さらに蘇我蝦夷は、息子の蘇我入鹿(そがのいるか)との墓を造るとして、日本全国から部曲180人ほどを集めました。
そして天皇のお墓につけられる名称「陵」の文字をあて、自身の墓に「大陵」、蘇我入鹿の墓には「小陵」と名付けたのです。

蘇我蝦夷の振る舞いは周囲の反感を買うようになり、皇極天皇が即位して4年経った頃、かの有名な「乙巳の変」が起こりました。

乙巳の変が成功すると、皇極天皇は同母弟である軽皇子(かるのみこ)に譲位して、女帝としての役目を終えました。

日本史の中でも有名な「乙巳の変」

筆者が中学1年生の頃、日本史のかなり初期の授業で習ったのを鮮明に覚えています。
日本史でも大きな出来事であった乙巳の変。

変が起きたのは皇極天皇4年6月12日、(645年7月10日)のことでした。

中臣鎌足(なかとみのかまたり)と中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)らが、あまりに目に余る蘇我氏の振る舞いを絶つために宮中内で蘇我入鹿を討つといういわばクーデターを起こします。

乙巳の変

翌日には蘇我蝦夷も自害へと追い込まれ、乙巳の変と大化の改新が成立。
蘇我蝦夷も自害した翌日の6月14日、皇極天皇は同母弟である軽皇子、のちに孝徳天皇となる人物に譲位して女帝としての仕事を終えました。

実はこの皇極天皇から孝徳天皇への譲位というのは、日本の歴史上初とされる譲位だとされています。

皇極天皇は、新たな天皇となった孝徳天皇から称号「皇祖母尊(すめみおやのみこと)」を贈られました。

歴史上初の重祚も経験した皇極天皇

重祚(ちょうそ)とは同じ人物が二度にわたり天皇として即位することです。

皇極天皇から上位され孝徳天皇が即位し月日が流れ、皇極天皇62歳の時、再び天皇として即位しました。
この時は斉明天皇として655年1月3日、飛鳥板蓋宮にて即位。
宝女王は皇極天皇、さらに斉明天皇として2度の即位を経験し、これは歴史上初の重祚であるとされています。

実験を握った人物と朝鮮との関係、国内の動き

斉明天皇として再びその座に座ったものの、実際の権力は皇太子・中大兄皇子が持っていました。

斉明天皇は「日本書紀」の中で、工事を度々支持したために民衆への労役が重かったとして批判の声も上がりました。

斉明天皇元年、国内でも力のあった東北の蝦夷一族、九州の隼人一族が衆を率いて斉明天皇の元に馳せ参じ、内属しました。
さらに朝鮮からも高句麗・新羅・百済が使いを遣わしたことも伝わっています。

皇極天皇の失策を指摘した人物

有間皇子(ありまのみこ)の変では、蘇我赤兄(そがのあかえ)が斉明天皇の失策をあげるなど、反対勢力も少なくありませんでした。
蘇我赤兄が指摘した斉明天皇の失策とは?

  • 倉を建て民衆から積み重ねるほどの財を集めたこと
  • 溝を長く掘ったことから公糧が多く無駄になったこと
  • 石を船に積み込んで運び、丘を作ったこと

蝦夷の地を従えた実績

現在の北海道、当時の蝦夷を平定するために、斉明天皇は阿倍比羅夫(あべのひらふ)を3度も海路へと送り出しています。
また北海道の北海岸、さらには樺太へと出兵し、それらの地で生活していた狩猟民族・粛慎にも勝利したとされています。

越智崗上陵

皇極天皇・斉明天皇として二度の即位を経験した宝女王は、遺跡名「車木ケンノウ古墳」、奈良県高市郡高取町大字車木にある越智崗上陵(おちのおかのえのみささぎ)に眠っているとされています。
直径がおよそ45mほどの円墳・円丘になっている皇極天皇の御陵ですが、専門家の間では、実は「明日香村にある牽牛子塚古墳が皇極天皇の御陵なのでは?」と囁かれています。

さらには皇極天皇のご両候補としては明日香村の岩屋山古墳・橿原市の小谷古墳もあがっています。